かいものがれ、俺らのせぇると。

1件目と2件目は省略。
3件目。こんもりと積み上がってる布切れの山から、適当に引っ張ったら、この布がペラッペラで、こりゃペラッペラだなぁとか思って摘まみ上げながら天にかざしてると、ロンゲのあんちゃんが「この生地の風合いが繊細で…」なんてもにょもにょ言ってきやがるんだが、生地の風合いなんかにうつつ抜かす前に、俺の心の機微を、そしてその大胆不適なお値段をどうにかしろよ、とかぶつぶつ言う間もなく、「ほら、こんなのどうです?」とか言ってシャツジャケットと合わせ始めやがって、だからお前、俺の、俺の話をぅ、聞けえぇぇ、って誰かが歌っちゃいそうな気がして、そりゃ拙いから「うーん、RICOっぽいよね!」っていい客ぶってやったらなんかシュンとしがって、そうしたら俺もシュンとしちゃうじゃんよ、みたいな気持ちと一緒でくすんだ赤いティーシャツを買うことにして終了。
4件目。整然と。整然とティーシャツ並んでるのはいいんだけど、とにかくサイズがMサイズとLサイズしかなくって、そんなでかいの、特にLサイズとか、誰が着るんだよ、デブとブサイクはシマムラかピコ着てろ、とか毒づくだけ毒づいてたら、真っ白いのは壁ばかりで、俺の周りだけどす黒くなって、目の前が真っ暗くなって、なんにも見えなくなって、colour by numbers、終了。
5件目。白かよ、白いティーシャツって気ぃ使うんだよ。仕事中に紅茶でも飲もうかと思ってティパックをボーッと蒸らしてるんだけど途中で我慢できなくなってタポタポするじゃん、で、そうすると勢い余って、とはいえちょっと遠慮がちに一滴くらい雫がぴちょんとかいって落ちてきて、ぎゃっ、空襲警報発令、空襲警報発令、とか鳴る隙もないうちに茶色いそれが屈辱的な染みを付ける、とか。あとさ、昼ご飯にお約束の油ものとか、あのちょっと油臭いコロッケやフライな、を食べようとして、このフライの衣がサクッといかずにベチャってなって、うわっ、落ちるな、馬鹿、とか言おうとすると余計に衣が吹き飛びそうになるから、それだけは避けなくっちゃいけないんだけど、右手はフライを挟んだ箸で塞がれてるから、左手で落ちた衣を軽く払う俺、かっこいい、とか考える俺にマジで恋した12秒のうちに生地に染み込む油、とか。「黒はないですねぇ…」。しょうがない、白で。DIET BUTCHER SLIM SKIN、終了。
6件目。っていうか、また白かよ。だから白いティーシャツって気ぃ使うんだよ。仕事中に紅茶でも飲もうかと思ってティパックをボーッと蒸らしてるん(中略)がない、白で。naichichi、終了。

I got no money
We can do nothing for you
(訳詞)
金がない
どうしようもないよ
──ASPARAGUS『MONEY』

屈辱ポンチ (文春文庫)

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KAPPA I

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