id:i_oritaさんへの書簡の続きの続きを超えたなにか。

みんながんばれ。
もう個人的な話に終始しよう。id:i_oritaさんも議論から降りたところで語ってんだから。
id:i_oritaさんの

そりゃさ、言い切らなきゃいけないんですよ。闘いだから。正義を押しつけなくちゃいけない。

って言葉を何度も読んでたら、僕に僕の理屈が通じなくなった。当事者からのそのひと言(って言っちゃうとid:i_oritaさんは嫌がるかもしれなけど)は、少なくとも僕には、重くて、だから僕はそれがやり過ぎだ、とかって言いたくない気分。でも、そこで(押しつけなんだからそう言わなきゃしゃーないんだろうけど)「べき」って言われてしまうと、やっぱりそれは嫌、ってのが正直なとこ。だからd:id:MASASCIANTE:20070310#p1って書いちゃう、それは僕の闘い方。っていう僕の態度は

もう構ってくれるな、と(中略)言わせちゃう社会

の一部なんだろう。とかね、僕の理屈と当事者のリアルがグルグルしちゃうー! っていう現状がいま、まさにここで!
例えば、

障碍者の人と、性暴力被害者ってどっちが弱いんでしょうね。私は障碍者アイデンティティを持った人に、「甘えるな」って言われてカチンと来たことありますね。んでも、私も障碍者に「甘えるな」って思うことあるからなあ(言わないようにするけどさ)

みたいな話って、d:id:kaerudayo:20070222#p2と同じ構図で、id:i_oritaさんも書いたし、d:id:MASASCIANTE:20070301#p1で僕もそれが答えだって書いたけど、

ある局面では強者であり、ある局面では弱者である

ってとこに集約されちゃうと思うんですよ。それって、どっちが強者でどっちが弱者かとか、どっちが正しくてどっちが間違ってるとかって誰も規定できない(裁判沙汰にすれば社会(=裁判所)が規定してくれるけど)し、だからそこを僕は「強者だから考えるべき」で括りたくないっていうだけの話だったのね、そもそも。向き合いたくないっていうより、そういう構図では考えられらないよ、僕は、って話。で、そうなったら、もう、id:i_oritaさんの言う通り「闘い」なんだよね、自分は自分で守らないといけない。そのときに

サバイバー同士で喋ってて、今度弱者的立場に置かれそうな場所に行くから「被害者」ハチマキをしていこうかって冗談言ってたんですが、マジでそういうことを望みますか?

っていう行動が(政治的に)有効ならそういう選択肢もありと思う、この例え話の場合は有効じゃなさそうだけど。そういう「私は(社会的に規定された)弱者ですよ」って公言する行為、例えば妊婦が付けるようになってきた(らしい、見たことないんだけど…)妊婦バッヂとか、が彼らの利益になるんであれば公言していけばいい、ただそういうことは稀だけど。で、まあ、途中から急に「私は(社会的に規定された)弱者ですよ」って言って(免責とか、優遇とかを求めて)くるなら最初から言ってくれよ、って思うとこもある。でも、それが新たな差別を引き起こすだろうことくらいは予想できる。ここでも僕の理屈と当事者のリアルがグルグルしちゃうー!
だから、やっぱり、id:i_oritaさんも、id:keya1984さんも、僕も、闘う(=議論と対話)しかないんでしょうね。id:i_oritaさんは過去の自分だったりする声も上げれない弱者のために。僕は僕の大事な人と家族のために。id:keya1984さんは…誰のためだろ? とか、理由をつけてね、偽善でも、欺瞞でも、自己満足でもいいから。面倒臭いけどね、楽しくないときもあるけどね、とにかく生きなきゃいけないから。…あー、なにが言いたいんだがわかんなくなってきた。

ここからは余談。

僕はこの議論みたいななにかと前後した頃、乙一の『ZOO』という短編集を読んでた。その一編に『カザリとヨーコ』という短編があって、なんとなくこんな感じに読んだ。あらすじはこんなだ。「カザリ」と「ヨーコ」という双子がいて、「ヨーコ」は「母親」に溺愛されて可愛く着飾ってるが、「カザリ」はその逆に虐待を受けて食事もままならない。「ヨーコ」と違って薄汚れた「カザリ」を同級生は笑うので「カザリ」はそれにちょっとムッとするけど、「ヨーコ」を羨ましくも、妬みもしない。そんなある日、とある事件をきっかけに「カザリ」と「ヨーコ」はお互いに入れ替わることとなり、「カザリ」になった「ヨーコ」は「母親」に殺される。そのとき「ヨーコ」になった「カザリ」は「母親」(の場所)に留まることなく、新しい街を目指して歩き出す。…僕は「ヨーコ」を「強者」に、「カザリ」を「弱者」に置き換えていた。

MASASCIANTEさんは強者の立場に自分を置いてるみたいですけど、ある一面ではMASASCIANTEさんは弱者の位置に入ると思うんですよ。そういうときにMASASCIANTEさんはどうします?

この問いの答えはそういうことになるんだろうな。それは理想でしかなくて実際は羨ましいし、妬ましいだろうな。とか、わけわかんないまま文章を締めてみる。
ぐだぐだ。

ZOO 1 (集英社文庫)

ZOO 1 (集英社文庫)