本谷有希子『生きてるだけで、愛。』*1を読んだ。

「……電気」思い出したように立ち上がった津奈木の背中を見上げながら、「あんた、ブレーカーあげるために停電にしてるわけじゃないよね」とあたしは尋ねた。津奈木は少しだけ考えたあと「そんなややこしいことしない」と静かに言い切った。
当たり前だ。
クビになるためにバイトするわけじゃないし、眠るために起きるわけじゃないし、またあとで鬱になるために立ち直るわけじゃない。
──本谷有希子『生きてるだけで、愛。』

でも、僕は酒飲んで朝帰りするといつもより二つ前の駅で降りてひたすら歩いてみたり、僕は誰と待ち合わせの約束をしてるでもない駅のベンチで誰かを待ってみたり、僕じゃない誰かは「どうして人を殺しちゃいけないんですか?」とか答えのない質問をしてみたりする。
ややこしい。
少なくともこの小説よりはややこしい。

There's a person who wants start a fight,
and a person who wants peace.
I don't which is right,
but I don't wanna get into trouble.
(訳詞)
争い事を起こしたがっている人がいて
平和を求めている人がいる
どちらが正しいとも言えないけど 僕は面倒なことはいやだ
──YOUNG PUNCH『FUN'S BETTER, ISN'T IT?』

Where Is The Other Shoe?

Where Is The Other Shoe?