舞城王太郎『阿修羅ガール』を読んだ。

私の目の前に広がっていた森には肉を喰らう怪物がいるという伝説があったのですが、その先へ進まないことにはお家に帰るしかありませんでしたし、お家には僕の机も、料理も、ベッドもなかったような気がしていましたから、隣にいた女の子と一緒に森へ進んでみることにしました。その森の中で僕は彼女だけでなく、何人もの女の子が、喉を刺されたり、目を潰されたり、足をもがれたりしながら、殺されていくのをただ見ていました。そして、今、僕の隣にはふたりの女の子がいます。

最後 最後 お前が 最後
一番 苦しい 一番 痛い
辛い 悲しい 厳しい 険しい
殺す 殺す ゆっくり 殺す
最後 最後 死ね 死ね 死ね
お前は誰だ 名前は何だ
今すぐ教えろ 今すぐ教えりゃ
殺すのちょっと 待ってやる
苦しみちょっと 減らしてやるよ
お前で最後 どうせ死ぬ
必ず殺す お前も殺す
ゆっくり殺す じわじわ殺す
手と足切って 頭をもいで
お腹を割って 中身を出して
じっくりゆっくり 死なせてやるよ
なかなか死ねない お前を眺めて
げらげらへらへら 笑って踊る
楽しみ楽しみ 苦しめ苦しめ
死ね死ね ゆっくり 死ね死ね死ね死ね
──舞城王太郎阿修羅ガール

まだ死ねそうにありません。

阿修羅ガール (新潮文庫)

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